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幻滅デイリー
知っとけ深層心理!
 休み時間、他のクラスの友人達が俺の元へと走って来た。ジャージを着ているので、次は体育なのだろう。随分と楽しそうで、何かあったのかと思った。何かあったのかと訊こうとすると、その声は一人の友人によって遮られた。
「あなたはこれから、牧場で百匹の羊を柵に追い立てて入れなければなりません。さて、百匹中何匹入れる事が出来たと思いますか?」
「……は?」
サラッと言われたものだから、思わず思考が停止してしまった。
「あなたはこれから、牧場で百匹の羊を柵に追い立てて入れなければなりません。さて、百匹中何匹入れる事が出来たと思いますか?」
丁寧にも、彼は綺麗に繰り返してくれた。
「何匹って……」
「ほら、直感直感!」
後の二人から俺が追い立てられる様に、答えさせられる。
「うーん……、百匹かなあ……。追い立てて、柵の中に入れなきゃなんないんだろ? それに、制限時間は無いみたいだしな」
「やっぱなー、さすが期待通りだぜ」
言い切ると、三人の友人はニヤニヤと顔を見合わせては笑っていた。いわゆる、知っている者の余裕っていうやつだ。何かムカつく。
「何だよ、早く答え教えろよ」

 キーンコーンカーンコーン……、キーンコーンカーンコーン……。

 何という殺生な、無情にも休み時間は終わってしまったらしい。
「んじゃ、また。解説は昼飯時にな!」
あはははは、と大笑いしながら三人は教室から出て行った。まあ、でも焦らされるのも悪くないかと、俺は数学のテキストを開いた。

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