幻滅デイリー
不安の日
たまに、漠然とした不安に襲われるのだ。はっきりとした、何かというものは無い。前にも、後ろにも道は無い。今、いる場所さえも解らない。いつの間にか、取り残されてしまったのだ。
真っ暗な世界の中に、自分の足型と肩幅の分だけ淡く明るい。行く場所も無ければ、帰る場所も無い。おまけに、居る場所だって無い。だから、呼ばれて求められれば何だってする。今すぐ、何だってしてやる。ただ、居場所が欲しかっただけなんだ。
善悪だって、あの人と秤にかければ軽い物。罪罰だって、あの人の為ならば造作も無い事。
愛人だって、何だってなる。不倫なんか、怖くも無い。たとえ、訴えられようとも関係の無い事だ。
ただ、不安なだけなんだ。霧か霞か靄の様に、いつしかこの身を取り巻いている。この先も、ずっと離れる事は無いだろう。それだけは、愚かなこの身でも解るんだ。
彼の為なら、彼女の為なら、君の為なら、あなたの為なら。
彼がいたのなら、彼女がいたのなら、君がいたのなら、あなたがいたのなら。一時的に、不安は消えるだろう。
いや、忘れる事が出来るだけだろうが。
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