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幻滅デイリー
面皰と吹出物
「あ。もう、やだァ」
狭い机上の鏡を見て、心底嫌そうな顔で出来物に指先を這わす英子。
「どうしたのよ」
徹夜明けの二人の女は、互いに顔を見合わせる。どうやら、一晩中仕事をしていた様だ。辺りには完成した書類が、散乱している。
「面皰よ、面皰!」
頬の出来物を指差し、愛子に示す。すると、愛子は苦笑した。
「ちょっと、自分の歳を考えなさいよ。三十路近くの女が面皰って。この歳じゃ、誰がどう見たって吹出物だわ」
「今日は、折角のデートなのに」
とは言いつつも、化粧を顔に重ねていく。
「全く、誰の仕事だと思っているんだか」
愛子は、肩を竦めた。





※芥川竜之介『羅生門』では二五、六の男の顔には面皰があったとの表記がある……はず。
※面皰は、ニキビと読むのが一般的。
※英子はA子、愛子はI子を変換しただけ。

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