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幻滅デイリー
とある天使と神様
 嗚呼、神様神様。人間は馬鹿で愚直で、救いようの無い程に醜悪な生物です。

「神様神様、貴方は本当に気高く美しい。それでいて、博識で。貴方の様な方を、他で見た事はありません。いえ、これからも見る事は無いでしょう」
両の手の指を組み、それを額に当てる様にして天使は呟く。精一杯めかし込んだと思われるスーツ姿が、やけに滑稽に見えた。
「嗚呼、そんな貴方様がどうして人間等という生物をお造りになったのかぼくには解りません。いえ、貴方様の事です。きっと、何か理由があっての事なのでしょう。ぼくには解ります、神様」
碧い瞳を更に輝かせて、天使は言う。金髪は神の後光を受け、まばゆいばかりだった。やがて、荘厳な声が響く。
「ジュメイル、お前は人間というものをよく見ていない。わたしは全ての人間を、同じ様に造ったわけではないぞ。僅かにどれもが違い、同じものなどありはせぬ。もう一度、よく見て参れ」
「神様神様、ぼくはもうあの様な地獄にも近い場所には行きたく無いのです。どうか、貴方様のお傍に」
「ならん、お前の考え方が変わるまで帰る事は許さん」

 神様神様、貴方様は酷いお方です。ぼくの気持ちが解っていながら、こうしつぼくを遠ざける。ぼくは、貴方様を愛して止まないのに。嗚呼、しかしそれは誰もが同じ事でした。けれど、貴方様は決して誰の手にも落ちない。そういう方なのですよね、そうなのですよね。ぼくは、貴方様の誰彼と同じ慈愛ならば必要が無いのです。嗚呼、願わくばこの高鳴りの抑え方をご教授願えませんでしょうか。

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あきゅろす。
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