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幻滅デイリー
憎んで、朝帰りの日
「やっべ、帰んねえと……」
朝日を見る前に気付いて良かった、とベッドから起き上がる。置き時計を見れば、そろそろ三時半になる。彼女は、隣で静かに寝息を立てていた。なるべく音を立てない様に、俺は暗い部屋を手探りで後にした。

 街も、静かだった。街が、眠っていた。街は、今日に備えているんだと思った。街灯が揺れ、身の寒さと心の侘しさに震えた。

 相部屋は面倒臭い、と最近思っている。寮の部屋のドアを開け、電気を付けずに忍び込む。靴下を脱いでベッドに入り、残り少ない睡眠時間を貪った。

「おい、講義始まんぞ。起きろ」
ククッという笑い声が気になりながら、目を覚ます。まだ、頭がぼんやりしている。
「おはようございます……、何笑ってるンスか先輩」
「お前、自分の足を見たか?」
ふと足を見れば、真っ赤なマニキュアが爪に塗られていた。そうか、暗い中を手探りで移動していたから解らなかったのかと悔やむ。

 講義で彼女に会い苦笑すると、彼女も笑っていた。
「黙って帰るなんて、狡いわよ。わたしの事を、そんなに秘密にしたいわけ?」
「別に、そうじゃないけど」
「そうかしら?」
彼女は嫌な笑いを浮かべながら、俺の手を強く握った。

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あきゅろす。
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