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幻滅デイリー
二人で喜劇を
「悪くないね、こういうのも」
ふふふ、と笑ってみる。そう、生殺与奪の権利は俺にある。彼は、そこに転がっているだけ。
「良い眺めだとは、到底言えないけどな」
人差し指で突ついてやるが、反応は無い。
「つまらないな……」
茶色い髪が床に流れ、俺は容赦無くそれを引く。呻きもしない。全く、良い根性をしていると思った。
「あがいて欲しいよな、こういう時は。最期の力を振り絞って、抵抗するが結局は……無駄に終わる。っていう、エンディングが見たいのに」
一人で喋っている様で、腹が立った。
「おい! 死んでんのかあッ!」
「うぐッ」
腹を蹴ってやると、鈍い音がした。良いね、こういう反応してくれなきゃあ意味が無い。無抵抗の人間を殺す程、俺は腐っちゃいない。
「何か言えよ、暇なんだから」
踵を体に埋める様、体重を乗せていく。
「が……ッ」
「俺は貪欲なんだ、こう見えて。苦悶の表情だけじゃ、足りないんだ。泣け、喚け、騒げ! 命乞いをしろ、みっともなくあがけ! ほら、ほらほらほらッ!」
背筋がゾクゾクする程、興奮した。そうだ、恐らく俺は狂っている。
「あっははは……」
この状態が、おかしくて仕方ない。

「さあ、死にたくなったか?」

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あきゅろす。
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