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幻滅デイリー
歪ませて、先行愛
 今頃、彼女は何をしているのだろうか。

 今すぐ会いたい、抱きたい。醜い独占欲が、脳内を支配している。しかし、想像出来るのは誰かといる彼女。誰かと話す彼女、誰かとじゃれあう彼女。

 女々しい、女々し過ぎる。自分は誰かと浮気をしながら、彼女を気にするなんて汚い。セコい、セコ過ぎる。大体が、俺に何の権利があって。

「わたしは、あなたの事なんか何とも思っていないのに」
ジイン、と体に響く。ああ、あの子も俺から離れていく。二つ共欲しがるのは、俺の癖だった。
「けれど、お前は俺の物だ」
俺は俺の物で、誰の物にもならないけど。体も意識も、全部。

 見苦しい奴だ、と自分でも思う。
「……止めて」
「もっと、俺を拒んでみろよ」
壁に追いやって、押し付ける。もう、この先は無い。
「止めて……」
「それ以外、言えないのかよ」
欲は、消える事が無い。冷たい壁は、熱い欲と裏腹に俺を責めた。
「もう、止めて……」
長い髪を指に絡めて、弄ぶ。しなやかに、指に巻き付けては離す。くるりと輪を描いて、線に戻った。甘い匂いは、鼻孔をくすぐる。シャンプーは何を使っているんだろうか、と場違いな事を考えてしまった。
「俺は止めない、絶対にな」

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