幻滅デイリー 六代目人斬り仕事人 「わたしが、あなたを裏切るとでも」 「その恐れは十分にあるな、今のうちに死んでおくか六代目予定」 それが、俺と六代目の出会いであった。世の中の汚さを見尽くし、裏切る事を第一条件とした六代目が怖かった。俺達、仲介が何も出来ないからこそ余計に。 「仲介、元気が無いな。拾い食いでもしたか、意地汚い奴だ」 「お前の命乞いを見ていたら、食う気もせん」 命乞いの後、油断を見せた隙に相手を殺すなど。六代目が死んだら、すぐに仲介も死なねばならないなど。たれごとを。 「仲介、どうした」 「煩い」 切腹する事は無さそうだが、苛々する。意地汚い生き方をしているのは、六代目だろうが畜生。 「生きていなけりゃ、何も出来ない。それを教えてくれたのは、五代目だった」 「そうか」 大して驚きもせず、帳簿を書き込む。どの様な汚い手を使ってでも、依頼は必ず成功させるのだ。名前は死んだも同然だけども、確実に俺達は薄汚く生きている。他人の生き血を啜る、蚊の様に小さく悲しく辛く痛く悔しく醜く生きているのだ。 「俺は、お前も俺も先代も正しかったのか解らんよ。あるいは―――」 ※ しかし、人斬り仕事人は彼らの代で途絶える事を未だ誰も知らない。 [戻][進] |