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幻滅デイリー
五代目人斬り仕事人
「自尊心が大事というのも、生き方に疲れを覚えるな」
「貴様は、すぐに謝る事を止めろ」
「はいはい、忝ない忝ない」
「貴様」
五代目に馬乗りになり、首を絞めてやる。実際、五代目は明らかに弱い。わたしよりも、弱い。

「忝ない忝ない、まだ死ぬのは御免なんだ」
けほっ、と咳込みながら帳簿を見る五代目。
「何だ、とんとん」
「そうだ、貴様が高い薬ばかりを使うからな。人斬りの名が泣く」
「名は泣かないし、涙も流さないよ」
ものの例えだ、たわけ。しかし、薬の扱いと人に取り入る術だけはどうも真似出来ん。だが、一回の仕事に時間をかけて仕方が無いのも確かだ。

「美学が無いね、先代も五代目仲介も」
薬を弄りながら、楽しそうに五代目は言う。
「殺しに、美学も糞もあるか」
「嫌だな、解ってくれない奴はこれだから。信頼を得て、馴れきった時に毒を飲ませる。裏切られた時の顔、見た事あるかい。あの様々な感情が入り乱れた表情と、最期の攻撃を避けられて引導を渡された時の表情と言ったら快感」
恍惚とした五代目の表情に、反吐が出る。
「女の腐った様な奴さ、貴様はな」

 しかし、わたしは五代目の本当の強さを知っているからこそ尚更に腹が立つのだ。

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あきゅろす。
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