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幻滅デイリー
四代目人斬り仕事人
 初代は自尊心が無く、二代目は自尊心が高い。三代目は勝手が過ぎて、四代目は従順過ぎる。

 ぼくは、それで構わないと思う。どうせ、散らす命ならば。

「仲介、俺は人斬りとして死ぬつもりだ。お前の言った通りに、何でもする」
昼間でも夜中でも、四代目は従順に働いた。文句無い働きぶりで、ぼくは彼と一緒にいれば国すら手に入るのではと足利の支配下で夢見たものだ。勿論、無謀ではあるが。初代も、そうは思わなかったのだろうか。
「人斬りは、辛いか」
ぼくは、彼の硬い髪を撫でた。元から硬質か、血で固まってしまったのかは解らないが。
「辛い、と考えた事は無い。三代目は、殺す事は生きる為の手段であり、俺達側の呼吸法だと教えてくれた」
「そうか」
感情は無い、か。
「お前は、辛いのか」
「いや、お前と一緒だ。辛い、などと誰が言えよう」
「一緒か」
心なしか、嬉しそうに見えたのは錯覚だろうか。光の宿らぬ目が、たまに美しく見えるのは見間違えだろうか。
「先代は皆、どういった最期を遂げたのか知っているか」
「ああ、皆人斬りとして最期を遂げたと聞く」
「お前達、仲介はどうなんだ」
言えるはずが無い、お前が死んだらこの身も終わりなどと。

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あきゅろす。
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