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幻滅デイリー
三代目人斬り仕事人
 『最悪のたわけ』と、二代目仲介人に言われた三代目はたわけながらも正直だと思う。

「仲介、俺は今さえ良ければ良いと思う」
「知っている」
「なら良い」
「ああ」
わたしは、この男に鎖を付けて飼う事など出来ないのだ。むしろ、わたしが飼われていると言ってもあながち間違いでは無い。初代も二代目も、そしてわたしも相手がいなければ屑同然なのだ。

「仲介、俺はお前を」
「お前は、いつ死んでもおかしくない」
わたしは、三代目の口を塞ぐ。すると、べろりと指の腹を舐められて、その気色の悪さに手を離してしまった。
「お前は、この間もやってくれたな。わたしは構わないが、お前が動きにくくなるというのに」
帳簿の面では、黒字。しかし、二代目より質が悪い。名ばかりで、殺し過ぎなのだ。わたしは、恐ろしくて仕方が無い。この男が、いつか。
「お前の一番は、一体何だ」
「俺の一番なんか、お前が一番知っているだろうが仲介」
「だから、それは何だと訊いている」
いい加減、この男の頭の足りなさにだけは嫌になる。訊いているのは、このわたしだぞ。
「俺の一番は、お前だよ仲介」
わたしは、時雨の強さに身を震わせた。初めて、本当の寒さを身に感じていた。

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あきゅろす。
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