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幻滅デイリー
二代目人斬り仕事人
 ああ、こいつは駄目だと思った。しかし、才能があった。人斬りという、あって良いのか悪いのか解らない才能に恵まれすぎていたのだ。必要なのは、斬る相手だけだった。

「お前、依頼人を殺してどうする……」
「俺は武士だ、侮辱されれば斬る」
「お前な」
全速力で走るが、追い掛けてくる数に圧倒されて巻く事も出来ない。
「いたぞ」
「殺せ」
この、大うつけが。俺もこの男も二代目だが、本当にうつけだ。
「致し方の無きこと、全員殺す」
「止めろ、数に勝てると思っているのか」
「雑魚が、何匹集まろうと雑魚だ」
頼もしい言葉だが、俺には首尾の良い手段だとは到底思えなかった。

 しかし、強さは本物だった。二代目は相手を殺して、殺して、また殺した。そして、まだ殺し足りないと悲しそうに言った。飢えているのだ、この男も俺も。
「お前は、謝るという事を覚えろ」
初代に倣い、俺は帳簿を付ける。だが、今月も赤字である。俺が切り詰めていなければ、二人揃って髑髏かと静かに溜め息をついた。
「お前が殺されそうな時くらいは、相手に謝って謝って命乞いする」
「不吉な事を言うな」
血に濡れた着物を脱ぎ捨て、二代目は手ぬぐいで体を拭いていた。

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あきゅろす。
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