幻滅デイリー 意味無しサプライズ 「俺、昨日クラスの女子に告白されたんだぜ」 ラブレターと合わせて、俺達の前にちらつかせる知宏。 「へえー、凄いね」 知宏が嬉しそうにするものだから、俺も思わず嬉しくなる。 「物好きな女だな」 光昭は眼鏡のレンズを拭きながら、知宏を笑う。光昭と知宏は、冗談を言い合う程に仲が良い。と言うと怒ったりするが、俺は二人共面白くて好きだ。 「光昭は、モテるよね。頭も顔も運動神経も良いし、話上手いし」 「まあな」 否定しないところが、光昭のいいところだ。 「だけど、お前もモテるじゃんか。全然モテないのは、知宏だけー」 あはははは、と体を反らせながら大笑いする。 「笑うんじゃねえ!」 「悔しかったら、モテてみろ」 「あ」 「どうした?」 ふと思い出した俺に、訊く光昭。制服のポケットから、白い封筒を取り出す。 「何だ、それは」 「朝、貰ったんだ」 「な、お前も、ラブレターか! 誰からだ!」 糊を剥いで、逆さにすると鍵と二つ折りの紙が出てきた。二人が、ぎょっとするのが解った。 「知らないオッサン」 紙を開いて見れば、新築分譲マンション名と部屋番号が書かれていた。 「これ、不燃ゴミ? ちょっと前にも、不燃ゴミで出しちゃったけど」 [戻][進] |