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幻滅デイリー
新説 色白桃太郎
 昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。

 ある日、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れて来ました。お婆さんはそれを持って帰り、お爺さんと食べようと包丁で切ろうとすると自然に割れて、中から元気な男の子が誕生したのでした。

 元々、子供のいない老夫婦でしたので、桃から生まれた男の子を『桃太郎』と名付けて大層大事に育てました。やがて、大きくなった桃太郎。大事に育てられたか、生れつきか色白でかなり痩身でした。しかし、ある日彼は言いました。
「お爺さん、お婆さん。今までわたしを育てて下さって、有難うございます。その御恩を兼ねて、わたしは鬼退治へ行こうと思います」
明らかに弱そうな桃太郎を、お爺さんとお婆さんは必死で引き止めます。けれど、桃太郎も引きません。冷静に、言い放ちました。
「お爺さん、お婆さん。本当の鬼は、人民の心の中にいるのです」

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