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幻滅デイリー
未満男の独り言
 ぐう、と腹が鳴った。嗚呼、なんて不憫なのだろうか。これが自分の子供ならば、何とかしてやろうとか思うだろう。けれど、俺の腹が鳴ったのだ。別にどうでも良い、何故なら俺の腹が鳴ったからだ。俺が空腹だろうと何だろうと、知ったこっちゃ無いのだ。言ってしまえば、空腹で死んだって構わない。そういえば、空腹が絶頂に達した時というのはかなりの快感らしい。俺には、未体験の世界だけど。っていうか、そこまでやったらマジでヤバい世界が広がっちゃうっしょ?

「うわー、馬鹿馬鹿しいなー。おまけに、腹減ったー」
でも、何もしない。それが、俺クオリティ。満たされないなら、それで良い。俺の人生は、満たされない様になっているのだから。満たされたら、いわゆる負けなのだ。そういや、ガキん時から満たされた事が無い。愛情なんてロクに感じた事は無いし、腹一杯胸一杯なんて感じた事も無い。珍しいとか言われるけど仕方ない、それが俺の歩んで来た人生なのだから。誰かに、何たらかんたらとか説教されたくも無いし。

「やっべ、寝てんのに目眩するんだけど……」
栄養失調は何回かやったけど、絶食で死ぬって現代日本で一体何人目になるんだろうか。百人目とか、キリが良かったら結構嬉しいかもしんないけどさ。

「あ。死んでねーけど、死んだ祖父ちゃんが見えるわー。……って、どんだけー!」
俺は、自分の笑い声も腹に響く事を知った。

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