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幻滅デイリー
腹痛三様
 生牡蠣を突きながら、男三人での会話。一人が宝くじに当たったから、との奢りである。

「自分、腹痛い時は何するん?」
ポン酢を勢いよく、生牡蠣にかけながら言う。また、当たる要素がある時にする会話じゃないだろうと感じながら男は答えた。
「あ、俺? 俺は冷えからかなとか思って、取り敢えず温めるかな。え、お前は?」
「あー……、そやなあ。あちらはんから見て、時計回りに腹摩るわ」
「それ、効くのか?」
訝しげな男の目に、疑うのかとムッとした顔をする。
「や、めっちゃ効くて。第一、お医者はんが言うてたしな。人間の腸の動きが、こう時計回りに摩った時と同じなんやて。ゆっくりやるんが、コツらしいで」
「はあ……、詳しいな。お前は?」
隣で黙々と生牡蠣を啜る様に食べる男を、ちょいちょいと突く。すると、ピタッと箸を止めて簡潔に答えた。
「神頼み」
「ちょ、それ、非科学的やなあ! めっちゃ笑かすわ!」
げらげらと笑いながら、男は畳を叩いた。

 彼らに腹痛がきたすまで、あと三十分の事である。

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