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幻滅デイリー
人が良い、良い人
 良い人になりたい、と彼は言った。
「良い人って言うより、お前は人が良いだろ」
「だからだよ」
はァ、と彼に向かって紫煙を吐いてやる。
「うえっ、げほ、や、止めろよ」
情けなく手を左右に振りながら、煙を飛ばす。俺にだって、こんな対応しか出来ない奴だ。一発、怒鳴ってみりゃ良いのにと思う。だから、人が良いなんて言われるんだ。しかも、別れた女に。知っているか、その女は俺に告白してきたんだ。
「お前には、無理だ。その、人に弱いのを治さない限り一生な」
「人に弱くなんか」
「あるね」
きっぱりと言ってやる。それが、こいつの為なんだと。
「良いか、良い人と人が良いのは違う」
「解ってるよ。だって、格助詞が入っているし。それに、単語の順も違うから」
「話にならん」
本当に、解って言っているのか。あの女、食っちまえば良かったかと今更ながらに思った。そうすれば、こいつも解るだろうに。身をもって体験しなけりゃ、解らない。だけど、そうしても彼は俺を許すだろう。俺や、女にも罪は無いとか何とか言って。だから、その位置から抜け出せ無いんだろう。

 人柄は、なかなか変わらない。彼はきっと、そういう人種なのかもしれない。でも、俺も負けていないんじゃないかと感じた。

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あきゅろす。
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