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幻滅デイリー
貸し借り交換会
「あっれー……?」
肩が緩くて、袖が短い。おまけに言うなら、股下も短い学校指定の制服。しかし、腹周りは平気なんだよなと確認する。
「やっぱ、駄目だな! ボタン、止まんねー」
だらし無くワイシャツのボタンを全開にしたままで、奴は言った。俺の制服なのに、と毒づく。

 話を戻そう。そう、それは三十分前になる。
「俺の方が、絶対に肩はある! それから、腹筋もな! 身長があるからって、自惚れんなよ」
「あァ? 体がデカい分だけ、俺の方があるに決まってんだろうが」
手だって、足だって。目線すら、違うのに。その証拠に、俺はお前を見下ろしている。

 しかし、だ。何だ、これは。一体何なんだ、これ。
「クッソー……」
言われなくたって、自分で解る。俺には、肩幅が無い。こう見えても、体に合うサイズを見付けるのに苦労してんのに。それに、体格では確実に負けてんだと自覚する。
「お前、細いよな」
ムッ、とした。細いなんて言われて喜ぶのは、女くらいだろう。
「締まってると言え、短足」
「何だよ、うっせーな。お前の方が、短足だったらヤベーだろ!」
それはそうだが、何だか同じ男として負けた様な気がしてならない。



 17歳の夏、の事。

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