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幻滅デイリー
今も昔も、悪人有りし
「古今東西、悪人の服ってのは黒いに決まってんだろ。綾瀬」
一郎太は、そう言った。なら、悪人だって解っちまうだろうに。

「死を呼ぶ四人組、ったら今じゃ有名人じゃん。首の値段だって、相当上がってんぜ」
どこから引っこ抜いて来たか、お尋ね者の貼紙が着いたままのお触れを担いだ伊右衛門。
「うお、俺一番じゃん。五百両。お前ら、まだ百両か。まあ、これから頑張ろうぜ」
「頑張らへんよ、うち元々呉服屋やったし」
ふいっと横を向いて、針を手に一郎太を睨む。一郎太は筋金入りの人斬りだったし、気分だけで俺達も切り捨ててしまうのではと不安だった。銀介は呉服屋の跡取りだったが、一郎太に掠われる様にして仲間になった。
「んん、まあまあ。気にすんな、こうならば一蓮托生」
気軽に村を捨てた伊右衛門は、銀介の肩を抱きながら言う。
「気安う触らんといてえや」
ぴしゃり、と伊右衛門の手を叩いて仲間である事を拒絶した。いつもの風景に、俺は肩を竦める。明日の名誉より、今日の飯。
「綾瀬、どっか強い奴のいる場所知らねえか。城とか、二つ三つ潰してえからよ」
一郎太の着物は黒とか言いながら、渇いた血の色で赤黒い。

[進]

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