[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
初めての、
「ていッ!」
大きな鍋が無いので、適量のパスタを二つ折りにする。乾麺状態のパスタは、バキッと音を立てて割れた。これなら、三本の矢だろうと軽く折れる事だろう。
「沸いてる沸いてる」
鍋の蓋を開け、気泡を確認してから適量の塩を入れる。
「成程、塩は下味を付けるために入れるのね」
ふむ、と頷いてからパスタを湯に塩を放り込む。
「パスタは、互いがくっ付かない様に素早く混ぜる」
 菜箸で、ガツガツと混ぜていく少女。火は適当に、茹でる時間は時と場合によりけり。たまに、味見。
「固ッ、ボキッて!」

 あまりにも適当過ぎる料理は、一人の少年を震え上がらせるには十分だった。ビクビクと、出来上がったナポリタンにフォークを伸ばす。

 少年は考える。パスタを茹でている際に、幾度か味見をしているのだ。固さだけならば、食べられる筈だ。
「頂きます!」
フォークに巻き付けたナポリタンを、意を決して口に投げる。
「ま……ッ」
「美味いだろう」
有無を言わさぬ、少女の笑顔に目を見開く少年。
「不味いか? 吐き出してみろ、死刑だぞ」
「ま……、マジ美味いです……」
「そうかそうか!」





※料理は愛情、なわけがない。

[戻][進]

23/28ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!