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幻滅デイリー
直球勝負の方が早い
「あなたは、きっと視力が悪いのね」
そう言って、彼女は切なそうに笑った。

 悪いが、俺は両目共に2.0をキープしているし、視力を落とすつもりは無い。
「俺は両目共に、2.0だ」
「それじゃあ、乱視かしらね」
俺の目を見ながら、わざとらしく今思い付いた様に言う。
「乱視だったら、要眼鏡だろ。俺が眼鏡をかけていたところなんて、見た事あんのかよ」
「無いわよ」
けろっと言う姿に、脱力感を隠せなくなる。
「あはは、面白いね」
「面白くねえよ!」
つい、怒鳴ってしまう。すると、ぴたっと彼女の軽口が止まった。驚かせてしまったのだろうか、彼女を盗み見ると下を向いている。
「あ、悪い……」
「え? 何が?」
きょとんとした表情で見られて、俺は些か安心した。ほうっ、と安堵の息を吐く。
「っつーかさ、本題に戻ろうぜ」
「ところで、何の話だったかしら? 最近の子供の好きな料理は、ハンバーグじゃないって話だったかしら?」
またもや、わざとらしくはぐらかされる。
「だから、俺の視力は悪くなくて! お前が美人だ、って言ったんだよ! さっさと、思い出せっての! 俺は、お前が好きなんだよ解ったか!」
勢いに任せ、一息で言い切ってしまった。

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