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幻滅デイリー
WRO
「世界破滅機構?」
「ええ、甘美なる響きでしょう」
うふふ、と笑う青年。端正な顔を少女に近付け、密やかに囁く。単なる下校中だった彼女は後退りながら、彼を睨みつけていた。
「あなたは選ばれた人材であり、破滅へのパーツなのです。自らの運命を受け入れて下さい」
青年は跪いて、忠誠を誓う様なポーズを取る。
「共に、来て頂きますよ総帥」

 しかし、『来て頂きますよ』なんて口だけで彼女は誘拐される様に本部へ連れ込まれていた。
「世界破滅機構、って一体何をするの?」
諦めた口調で、少女は彼を見る。部屋は機械ばかりで、薄暗い雰囲気は少女の脳裏にSF映画を彷彿とさせた。
「額面通りですが、何かありますか総帥」
「信じられないわ」
ああ、と頭を抱えてその場にしゃがみ込む。
「総帥、私達の為すべき事は世界を破滅へと導く事です。先人達は、その為にテロや戦争を促したものです」
「そうなの……?」
なんて、怪し過ぎる機構なのだろうかと。
「総帥、あなたは未だこの機構を信じていらっしゃらない様ですね」
「あ、当たり前でしょうが! それに、何でわたしが総帥なんて」
「うふふ、うたぐり深い総帥も魅力的です」
叫ぶ様に漏らす彼女を押さえ付け、彼は妖しく微笑んだ。
「うら若き処女は、破滅の象徴なのですよ」

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あきゅろす。
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