[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
サスペンスは身近に
「あー、かなりヤバいかも……」
ふらふらと、デパートのトイレに入る。



「調子乗って、飲み過ぎた……」
吐きはしないものの、足取りが全く覚束ない。けれど、個室のドアを開けた瞬間に良いが醒める。スキンヘッドに、眉も無いビニール袋を持った男が立っていた。サーッと血の気が引き、足がすくむ。それでも、近寄ってくる男。

 ここは、確かに女性用トイレのはず。うん、見直さなくたって。ここは確かに、女性用トイレに決まっている。

 ビニール袋をちらりとみれば、缶ビール数本と包丁。殺される、無意識にそう思った。でも、声が出ない。目が合い、もう終わりだと思う。お母さん、わたしもう駄目だわ。ああ、何で今日に限って。お母さんから電話があった時に、帰れば良かった。
「ひ……ッ?!」
喉の奥から、掠れて漏れる音。声、なんかじゃ無い。カサカサ、とビニール袋が音を立てる。連れていかれて、殺されて、どこかに捨てられてしまうんだわ。短かった、わたしの人生さようなら。まだ、死にたく無いのによ。わたし、まだ26歳なのよ。



 翌日、そのデパートから近所の公園にOLのバラバラ死体が撒かれていたなどと。信じられる、はずがないじゃない。

[戻][進]

26/30ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!