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幻滅デイリー
騙る、偽りと表情
 なじられる。古今東西あらゆる言葉で、なじられる。痛々しい、と他人は思うだろう。しかし、こんなのは朝飯前。付け加えて言うならば、日常茶飯事というところだろうか。別に、痛くも痒くもない。フォローとして言っておくならば、ぼくはマゾでは無い。ついでに言うなら、相手もサドでは無い。残念ながら、そう言った特殊な趣向は持ち合わせていない。

「一つ、訊いておきたいのだけれど」
「何かしら?」
「君は、それで楽しいのかい?」
しん、と静まり返る。
「あなたが、そんな顔をしているから悪いのよ。わたしに、非なんて一つも無いのに。あなたは、その表情だけで、わたしを苛むの」
成程、要は責任転嫁にも似た行動というわけか。納得するわけにはいかないが、鵜呑みにするわけでも無い。ぼくは、冷ややかに冷ややかに彼女を見た。
「あなたなんて、死んでしまえば良いのに」
カッ、と目を見開きながら忌ま忌まし気に恨み言を吐く。
「あなたは、偽善の塊だわ。何もかもを許す顔をして、心の中では常にわたしを嘲笑っているの。あなたは、世界も神様も人間も無意識下で冒涜している悪魔なのだわ」
「言う事は、それで終わり?」
訊けば、彼女の鋭い爪がぼくの肉をえぐった。

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あきゅろす。
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