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幻滅デイリー
双子の被害者
「頼むから、俺と同じ顔でそういう恰好しないでくれる?」
「そういう恰好って?」
「今、お前の恰好その物の事だよ」
心なしか苛々した様子を見せる兄は、弟の恰好を指差す。蛍光色を使った、上下真逆カラーのジャージ。ちなみに、上は赤で下は青である。しかも、玄関先で履いていたブーツは金色。一体、コイツのファッションセンスはどうなっているんだと頭を抱える兄。
「ほいじゃ、行ってきまーす」
「わあ、待て! 待て待て待て! ちょっと、待て! その恰好で、どこに行くつもりだ!」
「えー? 何? 過保護ウザいー」
「いや、お前の恰好が一番ウザいから。一卵性双生児で、お前は今一番やっちゃいけない事をしようとしている」
おまけに紫色の帽子を被りながら、姿見を眺めている弟を必死で引き止める兄。同じ顔形であろうと、明らかに弟のダサさは有り得ない状態を保っている。
「お前さ、その恰好マジで恥ずかしいとか思わないわけ?」
「え? むしろ、それドコが?」
「お前という人間が、俺には解らんよ。だがな、その恰好でお前を外に出すわけにはいかない。俺の、名誉の為にも」
弟に掴みかかり、部屋まで引き摺る兄。
「いつもは、それなりの恰好なのに今日は一体何なんだ?」
椅子に座らせて、兄が訊けば弟は「だから、一体何がだよ」という顔をしてからハッとする。
「お前も、これを着たいのか!」

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あきゅろす。
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