幻滅デイリー
繭解きの月夜
シュルシュルシュルリと繭を解き、引いては投げてを繰り返す。白き身体を静かに横たえ、わたしはその糸を此方側に巻き取るだけ。白から黒、白から赤に変わるまで。わたしは、糸を引き続ける。
空にはゆるりと月が見え、雲が流れて地に影を生む。わたしの右手は繭玉が出来、彼はそれを放り投げ。わたしは再び、繭玉を。そして、それは三度奪われる。糸は光って、キラキラ月光に星明かり。
「起きて下さいまし、起きて下さいまし」
細い細い柔らかな糸が、コンクリートを埋め尽くす。さらさら流れる、繭の糸。わたしは天の川を流す様、糸を流す天帝。
「あなたも、起こして差し上げなさいな」
優雅に青藤の浴衣を着こなして、夜の闇に溶けていく。わたしはだあれ、あなたはだあれ。
幻想的に、お伽噺は続きます。
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