幻滅デイリー 恋する死神少女 「おーい、そないな所で何しとんねん」 「何も」 廊下の真ん中に突っ立って、一番向こうを見る様に。一番向こうは、何があるのかわたしにも解らない。 「ねぇ」 「何やねんな、一体」 高い身長には、追い付かない。わたしが手を伸ばしても、まだまだ遠い。 「今、帰り?」 「や、今から部活やけど何で」 恵まれた人と恵まれていない人の差なんて、解るはずも無いのに。この人といたら、幸せになれるんじゃないかって思ってしまう。幸せと不幸せの違いだって、解らないくせに。 「じゃあ、待ってても良い? ううん、待たせて下さい」 「別にええけど、遅なるで。自分一人やろ、早う帰った方がええんちゃうの」 「良くない。全然、良くないよ。だから、わたしにあなたを待たせて」 「解った解った。ほな、終わったら迎え行くから教室で待っとき」 悪い噂が立てば良い。わたしが好きになる人は、大体すぐに死んでしまうんだから。お蔭で、わたしのあだ名は死神少女。一人目は交通事故、二人目は通り魔、三人目は川で溺死、四人目は一家心中、五人目はビル火災で焼死。もう、救えもしないじゃないの。 あなたを待っていた、とわたしが最初に言ったら。あなたは、わたしを笑いますか? [戻][進] |