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幻滅デイリー
痛み≠死
「痛くない」
どうやら、痛感が鈍くなってしまったらしい。手の甲からは、止めどなく血が溢れているのに。貧血気味で目眩はするものの、全く痛みが無い。手の甲からテーブルにかけて、貫通したナイフを引き抜こうが何も感じないのだ。

「どうしよう」
友人に相談すれば、軽く返される。
「痛くないなら、得したじゃんか。病院とか、行かなくて良いし」
「そういう問題じゃねえだろうが!」
もう、コイツなんて知らん。

 ぷすり、と鏡を見ながら自らの眼球にマチ針を刺す。
「……痛くない」
世界に、痛みが無いなんて恐ろしくて可笑しかった。世の中には、風が吹いた衝撃でも痛いと感じる人はいるらしい。それとはまた別に、脳味噌に痛覚に当たる刺激を与えても痛いとは感じないそうだ。

 本当に、ぼくは変だ。人間じゃない。槍が降ろうが、痛いなんて微塵も感じないだろう。ダイナマイトで、この体を爆破されようと全然平気だ。

 ただ、死んでしまうだろうけれど。





※真似は、しないで下さい。

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あきゅろす。
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