幻滅デイリー スケープゴート だから、俺と付き合って下さい。 「付き合う人ってのは、二番目に好きな奴が良いらしいよ」 机に突っ伏したまま、今はただのクラスメイトに言う。一体、彼女はどんな顔をしているのだろうか。俺に、それを確かめる勇気は無い。 「え、何で?」 軽く柔らかな声に、心臓が早鐘を打つ。ああ、やっぱり彼女の方なんて見れる訳が無い。 「一番好きな奴と一緒にいたら、それだけで疲れるからだってさ。それから、別れた時のショックが少ないから」 俺は、俺に言い聞かせる様に早口で言う。 だからさ、俺にしときなよ。そっちの方が、きっと上手く行く。俺も彼女も、先輩も後輩も。 すると、彼女は悲しそうに言った。 「そう、じゃあダメね」 「ああ」 涙混じりの、悲しそうな声が小さく泣く。痛かった、特にどこがというわけでは無く。彼女の声が悲しみと一緒に、耳に浸透する様に。 「わたし、あなたとだけは付き合えないのね」 [戻][進] |