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幻滅デイリー
お前、空気を読め!
 夏の、最期の抵抗だろうか。それとも、台風通過の影響だろうか。いやいや、もうどちらでも良いんだ。暑いのに、変わりは無いから。

「うわ、アイスですよ! 俺、ソーダ味にしよ。先輩は、何にします?」
駅前のアイスクリーム自販機を見て、飛び跳ねる後輩に苦笑する。後輩は早速、小銭入れから百十円を取り出してソーダ味のシャーベットと引き換えた。アイスじゃねえのか、と思いながら俺も財布から小銭を取り出す。ポケットに入れていた、財布の小銭すら熱い。既に後輩は、シャーベットにかじりついている。
「美味いッスよ。先輩も早く、買って食べたらどうですか」
「ん、そうだな」
手の中で更に熱くなった百十円を自販機に投入して、俺は親指で力の限り釦を押す。爪の表面が白くなり、ガコンと音を立てて商品が出る。
「え、先輩ッ?!」
「何だ」
ベリッ、と水色のパッケージを捲る。後輩の買ったシャーベットと、大して変わらぬ色のパッケージ。しかし、後輩は微妙な顔をしていた。
「チョコミント、ですよねソレ」
「あ? ああ……」
一口頬張ると、爽快感が広がる。やっぱり、美味い。しかし、後輩は言った。
「チョコミントって、歯磨き粉っぽい感じで苦手なんすよ俺」

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