[携帯モード] [URL送信]

幻滅デイリー
居酒屋妊娠
「ヤバい」
「何がさ」
腹を押さえる友人を、ふと見た。もしや、変な物でも食ったのかと疑惑の目でみてやる。
「妊娠しそう」
「ハァァァッ?!」
待て待て待て、待って。コイツは男で、わたしは女。うん、それは間違いない事実。むしろ、間違えようのない現実。わたしが、コイツの子供を妊娠するのなら未だ解る。いや、それも無いか。
「だって、何かお前が恰好良すぎるんだよ。お前さ、何でそんなに恰好良いわけ? 言動とか、有り得ないし。あそこで取り引きが上手く行ったのは、お前の気性だって」
「意味解らないから。っていうか、アンタ理系だったよね? 受精の仕組みとか、って解っているわよね? ただ、酔っているだけよね?」
「雰囲気に」
「阿呆ッッッ!」
ゴスッ、と鈍い音がする一発をその腹に見舞ってやる。
「う……ッ?! ちょっ、お前、妊夫には優しく接しろよ!」
「気持ち悪いわ、変態。何が妊夫よ、今すぐ腹を斬って詫び入れて」
「馬鹿だな、男でも想像妊娠する事ってあるんだぜ。知らないんだな」
ずずいッ、と近寄ってくる。やだやだやだ、マジで気色悪い。酔っているからって、洒落にならない。
「いやーッ、お母さーんッ!」
わたしは、叫んでいた。

[戻][進]

2/30ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!