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幻滅デイリー
困って、トラブって
「困る、凄く困る」
彼は、頭を抱えていた。
「だから、困るんだ。どうしようもなく、困る。だって、どうしようも無いから困る」
その大きな図体を折り畳み、部屋の隅でブツブツと呟く。
「仕方無いじゃないか、困るんだから。困るんだよ、どうにも出来ないから。頼まれたって、困る事しか出来ないんだ。これ以上、どの様にして困れば良いんだ」
昼間から悩みだし、時は既に夕方を巡って夜になる。辺りは暗く、三日月が輝いてビルにちらほらと明かりが灯り始める。真っ暗な部屋には、彼一人。
「困った、どうしてこんなに困らなきゃいけないんだろう。だから、そんな事を言われたって困るんだよ。何で、こんなに困らせられるのかなァ……」
やがて、月が山の向こうに消えた。そして、窓の外は明るくなる。

「困る」
彼は、頭を抱えたまま。

[進]

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あきゅろす。
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