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幻滅デイリー
甘えたい、夏風邪
「お兄ちゃんでしょ、我慢しなさい」

 ぱち、と目は覚めたが起き上がれない。どうやら、夏風邪らしい。熱は意外と高く、仕方無いので部活には出れそうにもないと連絡する。
「解った、御大事に」
全く口調が変わらない副主将に、意味もなく面白味を感じてしまった。

 ピン、ポーン……。

 いくらか熱の下がった午後、副主将はやってきた。ジャージのまま出ると、不機嫌な顔で上がり込んでくる。
「邪魔するぜ、飯食ったか?」
「いや、まだ……」
「じゃあ、丁度良かったな。お前は着替えて寝てろ、病人なんだから。あと、台所借りるぞ」
軽く蹴られながら自室に追いやられ、俺は本当に病人なのかと疑問になってしまう。

「美味いな」
副主将の白粥は、腹に沁みた。
「当然だろ」
あ、コイツも長男だったなと思い出す。無駄に面倒見が良いと言うか、無駄に世話焼きと言うか。
「美味い」
無心でがっついてしまう程に。
「主将が夏風邪とか止めろよ、士気が下がる」
「……応」
ちょいちょい、と副主将を近くに呼ぶ。
「薬? 体温計?」
「ちょっと、肩貸せよ」
近くに寄ってきた彼の肩に、体重をかける。俺、甘えたがり屋だなと思いながら『汗臭い』と言った。

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