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幻滅デイリー
教えて、適当先生!
「細谷先生って、野球部の顧問でしたよね?」
おずおず、恐る恐ると訊いてみる。だって、野球部って軍隊のイメージがあるんだもん。細谷先生自体も、何か鬼軍曹って呼ばれているし。竹刀振り回して、叫ぶイメージもある。本当は、数学担当だけど。
「そうだけど?」
意外と明るい声にホッとして、質問を続ける事にした。
「ユニフォームのアンダーシャツなんですけど、何で半袖と長袖の人がいるんですか?」
「単純に滑り込みをするか、しないかじゃないかな? ほら、あのキャッチャーは半袖だろ」
「あ、本当!」
投球練習に付き合っているキャッチャーは、半袖姿だった。ピッチャーは帽子を取って、袖で汗を拭う。
「じゃあ、何で皆丸坊主にしているんですか?」
「乱闘に備えてじゃないかな。ほら、髪があると喧嘩した時に引っ張られて不利じゃないか」
「ら、乱闘前提なんですか……」
「え? 違った?」
驚いた顔をするものだから、静かに訊いてみた。
「先生って、甲子園に出場した事があるって仰っていましたよね? しかも、優勝経験有りって」
すると、先生は頭を掻きながら微妙な顔をする。
「演説の甲子園に、ね」
先生の威厳が、削がれた瞬間だった。

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あきゅろす。
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