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幻滅デイリー
いけしゃあしゃあ
「つまりだね、君。未来に不安を抱くのは、先が解らないからだと考えるのだよ」
「はぁ……、それは解りますが。不安を抱いてしまうのは、人として当然だと思います」
「わたしは、未来に不安など抱いた事は無いぞ」
「老い先、短いからですか?」
ゴツ、と青年の頭に拳が振り下ろされる。
「いだッ!」
「余計な事は、言わずともよろしい!」



「では、先生。死ぬとはどういう事ですか?」
「それは、物質的な話かい」
「いえ、物質的な死なら解ります。脳波や、脈の無い事が前提条件となります。そして、肉体は腐蝕を進めていきます」
「まぁ、その辺で良かろう。死とは、あらゆる可能性を失う事だ」
「では、人を殺すという事は人のあらゆる可能性を奪うという事でよろしいですか」
「そういう事になるな」
「先生は、歳のせいもあるのでしょうか。あらゆる可能性が、無くなりかけていますね」
ゴツ、と青年の頭に拳が振り下ろされた。
「いだッ!」
「君、何としてもわたしを殺したいようだね」
「だって、くたばり損ないじゃないですか」
ゴツ、と再び青年の頭に拳が振り下ろされた。
「いだッ! くそう、まだまだしぶといぜ」

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あきゅろす。
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