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幻滅デイリー
幸運のメガミサマ
 ぱっちん、と切った爪が床に落ちた。

「幸運のメガミサマは、前髪しかないんだよ」
特に興味も無く、「ふうん」とだけ応える。興味は無い。そもそも、幸運とか不運とか好きじゃないし。(「ふうん」と不運は、かけたつもりは無い。どうか、下世話な勘繰りは止めて欲しい。例えば、俺が昨日セックスしたとか)
「だから、チャンスは一度きり。逃しちゃいけないんだ、幸運を捕まえる為にはな」
くい、と手で前髪を引っ張る様な仕草をする。無邪気そうに笑うコイツを何時か滅茶苦茶にしてやりたい、と思っているのは俺だけじゃないだろうに。だから、俺に幸運も不運も無いんだ。
「後ろ髪引かれる、なんて言葉は幸運のメガミサマには関係ねぇんだ!」
そこまでして、すがりたいのだろうか。別に、カミサマとかホトケサマとか目に見えない物にすがるなんて非科学的だ。チャンスはピンチ、ピンチはチャンス。ピンチにより、潰れろ。
「なぁ、その幸運のメガミサマってのは美人だと思うか?」
「え、何で?」
「前髪以外、つるっパゲなんだぞ」
「それは、植毛でもすりゃいいじゃん」
「あ、そ」
前髪以外、オールハゲなのに。美人は、髪の量で変わるか解んねぇけど。

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