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幻滅デイリー
パシって、ダーリン
「君の為なら、本当に死ねるんだよ俺は」
くっだらない、そのセリフ。わたし、聞き飽きちゃったわ。馬鹿の一つ覚えじゃないんだから。大体ドラマの見すぎじゃないの? そんな言葉で、女が擦り寄るとでも思ってんの? 寝言は、寝てから言えば良いのよ。

 でも、わたしは慎ましくて良い子ちゃんなんだもの。キャラクターは、大事にしなきゃいけないじゃない?
「嫌よ、先輩。わたし、先輩が死んでしまったらなんて考えられないわ。どうか、わたしなんかの為に死ぬなんて言わないで。お願いよ、わたしの為だと思うなら生きていて」
両手の指を組んで、涙目で相手を見上げて訴えれば確定勝利。
「そんなに、俺の事を想ってくれていたなんて」
頬なんか赤らめて、正直ウザいしキモい。何? 自分で振った話題に、自分で酔ってんの?! マジで、やってらんない。
「でね、先輩。わたし、喉が渇いちゃって。そこのコンビニの新商品の、ジュース飲みたいな?」
小首を傾げて言えば、先輩は走り出していた。しかも、走りながら叫ぶ。
「ちょっと、待ってろ。すぐ、買ってくるから! 動くな、変な奴が来ても無視しろ!」
変な奴は、アンタよアンタ。

 だけど、男って本当に馬鹿よね。

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