御題集 無知こそ 嗚呼、素敵過ぎる程に何も知らないのね。 一言、言おうか。 「カマトト」ぶってんじゃねぇよ。 知っている癖に。滑稽過ぎるよ、アンタ。 「あなたは、私をお救い下さるのですか?」 人を救える程、人間出来ちゃいないさ。 「あなたは、どこぞのどちら様ですか?」 お前が知る必要は無い。 「あなたは?」 「あなたは?」 「あなたは?」 いつまでも、質問は続く。ねぇ、蒲鉾は魚から作るんですよ。 「あなたこそ、ぼくを救ってくれるんですか?」 答えて下さい。 いつだって、答えは予想するだけ。確かめる勇気もないし、捕らぬ狸の皮算用と解っているのに計算ばかりしてしまう。 答えは1つだと解っている数学の計算だって、本当は他の答えを探している。いつでも、答えは複数。 1+1の答えは、2だと思い込んでいるだけかもしれない。本当は3かもしれないし、4かもしれない。もしかしたら、0だったかもしれない。 無知による、思い込みに過ぎないんだ。ただ、思い込める事は幸せ。 全てを知る事は無い。知ってしまえば、後は壊れるだけだから。 無垢なる無知こそ、醜悪なる全知。(了) [前][次] |