龍と花 あの時 〜side龍也〜 俺の横で気持ちよさそうに眠る楓を見て俺は小さくため息を零す 晴希と店で話していたらいつの間にかいなくなっていた楓を、あの後町内を走り回って探した あの町は族が多く、いつ絡まれるか分からない それに・・・ほかの組のやつらに楓は狙われている可能性が高い まだ公には公表していないが、俺が『花』を囲ったという噂が出回っているらしかった 「っくそ・・・!」 空は夕暮れから夜へと変わって来ていた 少し走った先の道が見覚えのある所だということに気が付く 「・・・ここは・・・」 あの雨の夜・・・ 借金の取り立てで向かった家の男が逃げ、追いかけていたんだったか・・・ そこで、人質にされていた楓と出会った 狭い路地を見ていると奥にもまだ道が続いていることが分かった 「・・・」 何故かそっちに楓がいるような気がして足を進めようとしたら、奥の暗がりから人が走ってくるような音がした [*過去][未来#] [戻る] |