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龍と花


少しして、とある部屋の前で止まった

「はい、着いたよ」
「・・・あ」

此処って・・・俺が最初に居た部屋だ・・・
連れてきてくれたのか

「あの ・・・」
「君は、龍也のお気に入りの子なんでしょう?ウチには無い気配だったからね」

そう言うと、俺の頭を撫でた
・・・本当に見えていないのだろうか?
さっきから見えているかのような振る舞いをする
不思議に思って、俺もお兄さんの頬に手を伸ばす
白くきめ細やかな肌に触れると、一瞬ピクッとなったが、すぐにさっきまでのように薄く微笑んでいた

「ん・・・何かな?」
「まだ・・・痛むんですか?」

そっと目元あたりを撫でながら聞いてみる
お兄さんはフフッと笑うと俺の手に自分の手を重ねた

「いや、もう痛くないよ、昔の怪我だし・・・それに俺は、目が見えないからって仕事を放棄してはいけないと思っているんだ・・・今は耳と感触を頼りにしている」

そのせいで、気配には敏感になってしまったけど
ね、と言 って小さく笑った
・・・お兄さんは悲しく無いのかな?
そんなことを考えていたら、胸が締め付けられる感じがした
俯いてると、優しく頭を撫でられた

「君はいい子だね・・・この家には相応しくないぐらい。だけど・・・そんな君だからこそ、龍也は惹かれたのかもね」

口元をゆるめて、俺の目尻を親指で撫でる


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あきゅろす。
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