龍と花 3 「あの・・・どうして包帯を巻いているんですか?」 すぐには返事は来なかった、聞いてはいけないことだったろうか・・・? 初対面の人に、失礼なことをしてしまったかも・・・ 黙っていると、お兄さんがポツリと呟いた 「この目は、もう使えないんだ」 同情するかい? そう言ってお兄さんは笑った・・・・・・どうして笑えるんだろう ・・・こういう時なんて言えばいいのかわからないけど・・・でも俺は同情しているわけじゃない 「・・・同情は・・・していません」 「へぇ」 「貴方は強い人だと思うから」 きっと、心が強い 「だから俺が同情なんてしても、何の役にも立たないし、意味がない。それにあなたは嬉しくないでしょう?だったら俺は、最初から同情なんてしない」 そう言うと、お兄さんの口角がゆるりと上がった 「そう、君は面白いね」 お兄さんが俺の腕を掴んで歩き始めた 「ぇ、あの」 「いいから」 心なしか、その声が弾んでいたように聞こえた 俺は引かれるままついてく。繋がれた手は、少し冷たくて、俺の熱で温まればいいな・・・とか そんなことを考えながら廊下を静かに歩いた [*過去][未来#] [戻る] |