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龍と花



「あの・・・どうして包帯を巻いているんですか?」

すぐには返事は来なかった、聞いてはいけないことだったろうか・・・?
初対面の人に、失礼なことをしてしまったかも・・・
黙っていると、お兄さんがポツリと呟いた

「この目は、もう使えないんだ」

同情するかい?
そう言ってお兄さんは笑った・・・・・・どうして笑えるんだろう
・・・こういう時なんて言えばいいのかわからないけど・・・でも俺は同情しているわけじゃない

「・・・同情は・・・していません」
「へぇ」
「貴方は強い人だと思うから」

きっと、心が強い

「だから俺が同情なんてしても、何の役にも立たないし、意味がない。それにあなたは嬉しくないでしょう?だったら俺は、最初から同情なんてしない」

そう言うと、お兄さんの口角がゆるりと上がった

「そう、君は面白いね」

お兄さんが俺の腕を掴んで歩き始めた

「ぇ、あの」
「いいから」

心なしか、その声が弾んでいたように聞こえた
俺は引かれるままついてく。繋がれた手は、少し冷たくて、俺の熱で温まればいいな・・・とか
そんなことを考えながら廊下を静かに歩いた


[*過去][未来#]

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