龍と花
2
急いで謝るが、返事が一向に返ってこない
「・・・ ?」
おかしいな、と思った俺はソロリと顔を上げた
「―――っ」
そこに居たのは、両目を包帯で覆われた長身の男の人だった。着ている着物を着崩しているため、白い肌が晒されている
そして、やはり美人だった。
いや、もう驚かないですけどね!
というか、気配とか全然しなかった・・・いつ来たんだろう?
「あの、大丈夫ですか?」
聞くと、今度はゆっくり頷いた
耳は・・・聞こえているみたいだ。どうして包帯を巻いているんだろう・・・?
そんなことを考えていると、目の前の人が、俺の頬にそっと触れた
その手つきが優しくて、嫌だとは思えなかった
「・・・ふふ」
頭上で小さな笑い声がした
顔を上げると、お兄さんがクスクスと笑って居た
「君は優しい子なんだね」
「?」
突然そんなことを 言われても、どんな反応をしたらいいのか分からない
それに、この人と会ったのは、たった今、だ
「俺には分かるよ」
俺の心を見透かしたように、呟いた
[*過去][未来#]
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