龍と花 雨 「あ、雨・・・」 バイト先の窓から空を見上げる さっきまで夕日の見えていた空は、黒くなってしまっていた 「楓君、帰り大丈夫?」 品物を棚に並べていると、店長の因幡さんが奥から出てきた ちなみに、楓っていうのは俺のこと。 日向 楓っていうの。 「はい、傘持って来てるんで歩いて帰ります。自転車置いてってもいいですか?」 「うん、いいよ。あ、後もう少ししたら上がっていいからね」 そう言って、軽く微笑むとまた奥に戻って行った 因幡さんは23歳でコンビニの店長をしている。男だけど中性的な顔立ちで美人な感じ 俺も初めて見たときは女性だと思ったもん。 残りの商品を並べ、空になったダンボールを裏に運び出す。これで今日の仕事は終わり。 「楓君」 「はい」 帰り支度をしていると、因幡さんに声をかけられた 「お疲れ様、今日・・・気を付けて帰ってね」 「?はい」 いつもは笑顔で見送ってくれるのに・・・今日はなんか・・・ 気になって、じーっと見つめていると頭を撫でられた。あ、いつもの因幡さんだ。 「また明日」 「はい」 俺は傘をさして帰路についた [未来#] [戻る] |