APH
じゃのめがさ(仏+英
ざぶざぶ




雨が降った後の道を歩く。
馬鹿馬鹿しいとは思うけれど、中々馬鹿に出来ないのが水溜まりである。
これは只の水の寄せ集めではあるのだが、道のド真ん中を陣取って邪魔な事この上無い。
其処を車が通ったりしたら最悪だ。
ズボンが濡れることは確実となる。

雨は嫌いだ。

服が濡れるから。
音が消されるから。
嫌いだ。
不意に頭に軽い衝撃。
振り払い、見上げれば其処には見飽きたニヤケ面。
嗚呼、今日は最悪だ。
会いたくない奴に会ってしまった。
「どうしたよ、アーサー。雨の日に、こんな所で」
「ジャムが無かったんだよ。そうじゃなきゃ、誰が雨の日なんかに…」
苛々する。
胸の中がささくれだって、荊に締め付けられいるような。
傷付けて傷付いてそれでもやめないやめられない、なんて。
そんな、嫌な冗談。
「雨上がりは良いと思うんだけどなぁ」
お兄さんに雨は似合わないけれど、雨の匂いがするからね。
ヘラヘラと笑うフランシスから顔をそらし、帰路を急ぐ。
何でこんな奴と会ってしまったんだ。
嫌なことばかり思い出す。
「なぁ、アーサー」
お前もそのうち、きっと雨が好きになるさ。
言葉を背に受けて、俺は走り出した。




(ついてくんなヒゲ!)
(あっ、お兄さん怒っちゃうぞ!?)
(勝手に怒ってろナンパヒゲ!)

[*前へ]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!