APH
鼓動が重なり(英+伊
とくとくと




音がする。
小さな鼓動のような。
それは自分のすぐ傍でしていた。
(…寝てたのか)
気付かぬ内に眠っていたらしい。
妖精達と戯れ、心労を癒しているととてもリラックスする。
だからだろうか。
小さな笑い声がする。

可愛い

ふにふにしてるわ

そっと目を開いた。
『あら、アーサーが起きたわよ』
『おはよう、アーサー』
「あぁ、おはよう」
妖精もケット・シーもユニコーンも先程のように俺の傍らに寄り添ったまま動かなかったらしい。
体を起こし、挨拶をする。
「何を笑ってたんだ?」
『だって、見て、この子』
妖精の一人に促され、自分の隣の芝生へと視線を落とす。
其処には、元々は敵であったはずのフェリシアーノが居た。
息を飲む。
俺を見る度に泣きわめいてルートヴィッヒの背後に隠れていたというのに。
怖い怖いと叫んでいたのに。
何で。
『この子ね、絵を描こうとしてたのよ。御機嫌に鼻唄を歌ってたわ』
視線をずらせば確かに画材が転がっている。
本当に、ただ絵を描くつもりで居たのだろう。
『なのにね、アーサーを見付けた途端に震え出したの』
まぁ、そうだろう。
散々虐め倒した記憶はそう古くはない。
『でもね、私達がやめてって言ったら、急に震えるのをやめてキョロキョロしだして…』
『それで、アーサーと並んで眠っちゃったの』
『ほっぺたをつついてみたけれど、起きないのよ』
心から楽しそうに笑って、妖精達は踊った。
円を描くようにクルクルと舞う。
…俺以外には見えないはずなのに。
フランシスも、アルフレッドも。
誰にも見えなくて、いつだって馬鹿にされていたのに。
…見えないのか?
勘がいいだけなのか?
それとも…。
もしかしたら、コイツ等の綺麗な歌声を初めて自分以外に聴かせてやれるかも知れない。
そんな想いに胸をときめかせた。




(早く起きろよ)
(待っててやるから)
(なぁ、話をしよう)

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!