APH
もっと綺麗な祈りだけを(仏+伊
幸せを望むとかそんなじゃなくて




そっと頬を撫でる。
ふにふにと弾力のある感触に気を良くして微笑んだ。
昔から、何も変わらない。
この頬も、外見も、頭のくるんさえも、全く変わらない。
俺がこうして少しずつ変わっていったというのに、時代という荒波に幾ら揉まれたところでこの子供は変わりはしない。
不変、それもまた美しい。
崩壊の美という菊の美的感覚には同意出来るところがあった。
なら、菊はこの不変の美には同意するだろうか?
「ん…にいちゃん…?」
「ぉ、悪い。起こしちゃったか」
薄く目を開いたフェリシアーノの頭を優しく撫でる。
良いなぁ、フェリシアーノ。
欲しいなぁ。
幼い頃に一緒に居た奴等の中で、唯一俺を兄と呼ぶフェリシアーノ。
アントーニョのことも兄ちゃんって呼んでたっけか。
「なぁ、フェリシアーノ。お前、俺が好きか?」
「うん!大好きだよ!」
ほら、やっぱりな。
きっと誰よりも平和を望んでるのがコイツ。
天使のようだ、と思い、その考えを打ち消した。
天使は神の膝元に帰ってしまうんだった。
それは困る。
俺の可愛い弟を、神なんて野郎に渡すかよ。
「兄ちゃん、どうかしたの?」
「いーや。一緒に絵を描こうかと思ってな」
「描く描く!わぁーい!兄ちゃんと絵を描くのは久しぶりだね!」
「ぁー…そうだな。何年ぶりだ?」
「わかんない!早く描こう?」
「わかったわかった」
絵を描くと聞いた瞬間即座に起き上がって俺の腕を引っ張り出した。
昔からこうだ。
芸術だとか料理だとか、こだわるとこはこだわるんだからよ。
思わず苦笑して、フェリシアーノの頭を撫でてから手を繋ぐ。
今日は良い絵が描けそうだ。




(大切な弟だって胸を張って言える)
(誰よりも可愛い、大事な大事な弟!)
(お兄さん、フェリシアーノの為なら頑張れるかも)


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あきゅろす。
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