(ヤ)のカミングアウト(2)
夕方、道場近くの川に下りて水浴びをする2人は、殴り合って怪我してるのに、そんなのを気にせずに気持ち良さそうに上着を脱いだズボン姿で泳いでいる。



「コータもおいでよ、汗をかいた後は気持ちいいよ」


俺は・・・いい。もう体も痛いが色々ありすぎて、心もいっぱい過ぎて・・・



基礎訓練は本当に護身術みたいな受け身とか、急所狙いの方法とかで、酷いことはされなかった。
殴り合いの鍛練はまた今度とか言われて、逃げ出したいんだけど・・・



「何シケたツラしてんだ、タロ」


引き締まった筋肉に光る水滴をたらしながら、中1のくせにもう腹筋が付いてきている龍成が、虎太郎の腕を掴みあげ、川の中に引っ張り込んだ。


「こら、俺、服着てんだ・・」


じゃ脱げばいいじゃんと、両手は前に居る龍成が押さえたまま、背後から椎神が寄ってきて俺のシャツを引っ張り上げた。
龍成は腕を万歳にさせて、一気に椎神がシャツを頭と両腕から引き抜いた。

2人と比べると貧弱な白い肌、細い体躯。女の子じゃないのに、恥ずかしくて両腕で体を隠してしまう。

「コータ、乳首ピンクだ。かわいい〜」
「へ、変な事言うな」
「コータって子供体系のまんまだよね〜龍成もそう思うでしょう」

椎神が変な事言うから、龍成も俺の隠した胸の辺りをジッと見る。すると、また後ろに回った椎神が俺を羽交い絞めにして、無理やり腕を解きにかかる。


「ふざけんな、椎神」


腰まで川につかっていて、ふらつてバランスがとりにくい。
しっかり押さえつけられた俺に、ジャブジャブと真っ直ぐ龍成が近づいてきて、、、あいつ・・・




俺の腰に両手を添えて、俺の胸に顔をうずめて・・・

「ぎゃ、、何、やめろ」

「色気のねえ声出すんじゃねえ」





てめえ・・・ち・・・乳首舐めんな=================================!!!!





椎神に羽交い絞め、そして腰を龍成に抑えられ、俺は奴に乳首を舐められている。


「き、、ぎもじわ・・・気持ち悪い〜〜やめろ〜〜」


冷たい川の中で、龍成の舌だけがとてつもなく熱く感じる。でも、はっきりいってこの行為は気持ち悪い。


チュルリチュルル・・・
恥ずかしい、なんだよこの音。

「止めろって、りゅ、、椎神もはな、せ、、」
「おかしいなぁ、気持ちがいいはずなんだけど」
「よくない!!気持ち、わる、、ぅ・・」

何だこれは・・・乳首の辺りがゾクゾクしてきて、自然と体にも震えが伝り始める。

「ほらね、気持ち良くなってきたでしょう」
「ち、違うって、き、気持ち、悪いんだって」
「そんなはずは、だって龍成ってうまいでしょう」
「知らね======そんなの!!」

初めての体験にうまいかどうかなんて分かるか!!
しかも中1で乳首舐めるのうまいって、いつも何やってんだこいつらは!!


「これはご褒美だからコータ。今日はよく頑張ったね」
「こんなご褒美いらねえ==」
「うるせえぞタロ。頭の上で叫ぶな」



そう言って龍成は俺の乳首を口に含んだままで、




「なあ、タロ、うちはヤクザだ」




いきなりの深刻な話。乳首舐めながら言う事じゃねえだろう!!



「お前、どう思った」



虎太郎の乳首を飴玉を転がすように舐める龍成は至極冷静な声で虎太郎に聞き返す。

「言えよ、タロ」


冷めた声で、俺に答えを言わせようとする龍成の言葉が、乳首を通してしゃべるたびに体に振動を伝える。
この感触・・・やだ・・・。

「い、家が、、ヤクザだって・・・、、、りゅ、せ・・がヤク、ザなわけじゃ、ないだ、ろ・・、あぁん」


だからペロペロすんな=====!!!しゃべれないだろうが。


「じゃあコータは、私達の家がヤクザでも今までと同じように付き合ってくれるってこと?」

「だ、って、家とか、の・・・かんけ・・・ない・・・し」

「ああ、やっぱり、コータ。君は最高だ!」


椎神は更に腕にギュッと力を入れて後ろから抱き締めた。

「い、痛い、しい・・」



「タロ、大事に飼ってやるから・・・・・覚悟しとけよ」


(「やっぱり飼い主と下僕は変わらないのかよ・・・」)


くくっと含み笑いが聞こえその言葉通り、龍成の舌使いも一層執拗なものになり、サンドイッチで挟まれた俺は、今頃、またしても、何かとてつもなく間違った事を答えてしまったことに気づく。



「う、、も、、やめ」



最後に思いっきり強く吸い上げられて、龍成の唇が離れると、椎神も拘束を解き、俺は川の中に身を沈めた。
冷たい川の中で、舐められた片方の乳首だけが妙な具合に疼く。薄いピンク色の乳首と、赤く熱を持ってぷっくり腫れたような乳首。片方だけ吸われて色が違っている・・・もうやだ。なんだよこれ。


「良かったでしょう!また明日ねコータ」
「良くなんかねえ===お前ら、悪ふざけにも程がある、それに、明日とか、、、次はねぇ!!」




2人の家がヤクザだったのに驚いたが、乳首を舐められた事の方が今の俺にはショックだった。


こんなふうだった去年の夏。

俺の晴れやかな青春は、今のところ晴れることなくどんよりと薄暗い日々の連続だ。

そして今年も変わらぬ同じ夏。



やっぱり、あいつらのことは「嫌い」だ。

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