ボタンがちぎられたシャツを、龍成と椎神に無理やり脱がされた。



俺は上半身すっ裸にむかれた理由など分かるはずもなく、冷たいシーツが直に触れる肌に心地悪い異質感を感じながら、覆いかぶさって体を観察する龍成に怯えた。


「あ、ここにあった。これで3つと」

床に飛び散ったシャツのボタンを回収し終えた椎神は、ボタン付けとくね〜とこちらには全く無関心だ。
ドサッとソファーに座り、ガサガサとカバンをあさる音がして、そのあとは静になった。



ベッドの上には、俺と龍成。


さっきから裸の俺を見てニヤニヤしたかと思えば、今度は目を吊り上げ傷痕を見ている。ニヤけたり怒ったり、男の俺をひんむいて何がしたいんだこいつは。




「やっぱ、その痕気にいらねぇ。誰にやられた」


俺の腹をまたぎ、上から首の絞め痕を睨みつけながら、いまいましげに見ている。

「知らない。見たこともない奴だったし。どうせお前達2人に恨みを持ってる奴だろ」

と言って、お前達のせいだとはっきりとは口に出せない弱気な抗議をした。

「で、何で俺の知らねえところで、好き勝手にこんな痕付けさせてんだ」

首に龍成の腕が伸びてきて、首をグイッと掴む。

「仕方ないじゃん、首絞めてきたんだから」


「こんな胸クソわりぃ痕、俺が消してやる」

「う、、」


いきなり首を掴まれたので驚き息を飲む。そして龍成はそのまま体重をかけて片腕で首を絞め始めた。


「ぐぅ、、、っ」


止めろ、何するんだ、龍成!!


不良に絞められた同じ場所を、今度は龍成に絞めつけられる。片腕とはいえ、龍成の力は半端なく強く、首の筋や気道を力任せに圧迫され、押さえつけられ狭まった血管がドクドクと大きな音で脈打っている。


「く、、、がっ、、」

もう悲鳴も出ない。息を吸いこむことも吐き出すこともできず、ただ口を開けてもがき苦しんだ。

苦しくて、目じりから涙がこぼれ落ち、空けっぱなしの口の中はからからに乾き、血が上った顔は紅潮して痛みに歪んでいいた。



「タロ、てめぇ・・・」


首を絞める力を更に強めて、龍成の表情も一層険しくなる。


「・・・・・・ぁ・・・・・」

「そんな顔・・・他の奴に見せてんじゃねえよ」





何かしゃべっているけどはっきりと聞き取れないくらい頭は朦朧としていた。



「・・・・やべえ、   いいわ・・・・やっぱおめぇは」



何が”いいわ”だ。
お前ははサドか・・・
人が苦しんでいるのを見て喜んで・・・・・

も・・・
目の前がかすむ・・・・・・・・・


限界。
そう感じたとき、首を絞めていた龍成の手の力がフッと緩んだ。
おれは空気を取り戻すために、無我夢中で息を吸い込んでむせった。

口の中も、気道も粘膜がくっつくように渇いている。でもまだ吸い足りない。むせって空気を吸ってまたむせってとせき込みながらあえいでいると、口にぬめりのあるものが降って来た。




「!!!!!」


涙目になった瞳を開くと、間近に龍成の顔が!!




熱を持ってぬるりと湿った感触。それは、龍成の唇と舌だった。


「ん、ぅん・・・ぐぐっ」


俺の口に噛みつくように、唇ごと歯で噛み、お互いの歯がガチッと当たるのも気にせず、貪り喰らうようなキスをされる。


「な、、なに、、、、す・・・ぅん・・」


胸を押しのけようとした両手は、ベッドに縫いつけられるように頭の横で抑えられ、顔を動かして唇を外そうとしても執拗に唇を合わせ離そうとはしない。



(「どうして、こんなことするんだ」)



龍成の舌は俺の口の中で、別の生き物のようにうねり狂っている。恐ろしさに怯える舌を強引に絡め取り吸い上げる。キスなんかしたこともない俺は、何もかもを龍成に支配され、されるがままに口内を蹂躙された。


クチャチュチュルと濡れて赤く色ずいた唇を何度も何度も味わうように荒く吸い上げる。
カラカラに乾いていた口の中は、今や唾液にまみれ、それは口の外にもあふれ、卑猥な透明な糸となって垂れ落ちている。


「タロ」


やっと口を離した龍成は、色気づいた目つきで濡れた唇をペロリと舐めて、



「お前は俺のもんだ。他のやつに好きにさせてんじゃねえ。わかったか」



そう言って、今度は俺の首にその牙を落とした。

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あきゅろす。
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