ロックオン
校門を出た俺が何故不良に絡まれているかと言うと・・・
もちろん原因は龍成と椎神の蒔いたケンカの煽りをくらって囲まれているのだ。



「あの2人なら、いないです。ほんとに、いつもは一緒だけど今日はどこに居るのか俺には分かりません」

険悪なツラの不良に俺は顔をひきつらせながら答えた。

2年で別々のクラスになった俺は、いつも帰りは迎えに来るのに今日は2人とも来なくて、俺も不思議に思ったいたところだ。
何か用事があって先に帰っちゃったのかな。
と言うことは、久々の1人。


1人・・・1人だ・・・    やったぁ自由だ=================!!!


嬉しくてたまらない。頬が緩んでニヤついてしまう。
極悪ツインズがいない下校なんて、2年になって始めてだ。ああ、ありがとう神様。



「おい、てめえ、何一人でブツブツ言ってやがる。京極と椎神を呼べ」

神様に両手を握りしめて感謝のポーズをとっているとそうでした、この人たちの存在が吹っ飛んでいました。
幸福感に浸っていた俺は、目の前の不良の存在をすっかり忘れていたので、彼らは自分の世界に入りこんでいて返事もしない虎太郎に慨嘆していた。

「す、すいません。でも、呼べと言われても・・・本当に知らないんです」

俺だってあいつらの行先なんて本当に知らないし。知ってたら教えますよ。

「ふん、居ねえなら仕方ねえ」

そう言って不良たちは、俺を嫌ーーな目で睨み据えると、気味の悪い笑みを浮かべて近づいて来た。

「じゃあ、お前でもかわいがって、京極への見せしめにしてやるか」


見せしめ?俺が?何で?

対岸の火事だと思っていたのに、自分が標的にされ、血の気が一気に下がる。

下校時の校門では何が起こっているんだと、他の生徒たちも不審な様子で絡まれている俺を遠目に見ていたが、チラ見するだけですぐ視線を反らしそそくさと帰って行き誰も助けてくれない。お願いだから先生呼んで!!



「仲間がやられたとあっちゃぁ、京極もはらわたにえくりかえるわなぁ〜悔しがる様が目に浮かぶぜ」

「お、、俺は仲間じゃないです。あ、違う、っていうか、仲間だけど、でも本当は違って、表向きは仲間になってる感じに見えるけど、俺自身は仲間とは思っていなくて、だから俺は関係なくて、俺を襲っても別に龍成は関係ないし・・・部外者ですってば、俺をやっても何も意味無いです!!!」

ロックオンされたことでパニックになった俺は思わず大声で叫んでしまった。


「何訳の分かんねえこと言ってんだてめえは」

ヒュウと空気を切る音とともに、男の拳が顔面目がけて飛んできた。

拳は顔の中心を捕らえ、鼻がゴキっと嫌な音を立て流血と痛みに苦痛の表情を浮かべる・・・そんな場面を誰もが想像していただろう。



男の拳は虎太郎のカバンに命中していた。
男が殴りかかってきた時、瞬時に虎太郎は顔の前にカバンを構えて、男の拳を防いだのだ。こんな動きができるのも普段の鍛練(したくないもめごと≒ケンカに巻き込まれた結果)の賜物だろうか・・・


「て、、てめえ」

拳を防がれた事にいきり立った男は、怒りまくって虎太郎に殴りかかる。

「うっ、わ、止めてください〜〜〜」

飛んでくる拳をしゃがんで避け尻もちをつく。今度は蹴りが鋭く入ってきて、転がりながら相手から逃げた。走って逃げようとしても残りの二人が行く手を阻み虎太郎はとうとう3人にとり囲まれた。

「這いずり回って逃げるのだけは上手みてえだな、だが逃げ場はねえ。かんねんしろや」

追いつめられ逃げ場もなく、誰も助けてくれない俺を、獲物をいたぶるように3人で囲み一歩一歩近づいてくる。

もう駄目だ、逃げられない・・・・・ああ、俺きっとボコボコニされるんだ。殴られて蹴られて怪我して・・・痛い、きっと痛い・・・
もう泣きそう。
大体龍成達が悪いんだ。あいつの代わりに俺がなんでこんな目に、後で絶対文句言って・・・



後で?





虎太郎は恨み言を心で唱えながら、自分の考えに何か引っかかるものを感じた。なんだっけ?



後で、文句を言ったとして・・・

(「お前のせいで、俺はボコボコにされて・・・・・」)

(「ふうん。お前負けたのか」)



龍成に文句をいう自分の様子を想像し、見る見るうちに顔が青ざめてくる。
龍成がいつも俺に言っている言葉が急に頭に浮かび、とたんに震えが来る。


龍成は、何って言ってたっけ・・・・




『俺以外の奴にやられてんじゃねえぞ、タロ。知らねえ奴に好き勝手にさせてみろ、、、てめぇ・・・殺す』






ぎゃ==============================!!!!!



意味不明で非人道的な龍成の言葉が甦った。

[←][→]

9/46ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!